12人の死人が命を奪い合うデスゲームADV「Fatal Twelve」の紹介レビュー

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Fatal Twelveってこんなゲーム

日本のaiueoKompanyが開発したビジュアルノベル

各国から集まった12人の死人が12週間かけて命を取り合うデスゲームADV。キャラの操作やアクションなどはなく、物語を読み進めて選択肢を選ぶことでストーリーが変化。

全部で7つのエンディングが用意されている。

 

あらすじ

主人公は年老いた祖母の代わって小さなカフェを営む女子高校生、獅子舞凛華

平凡な学校生活を送っていた凛華だったが、いつものように後輩と電車で帰宅途中、突然、車内の爆発に巻き込まれる。その際に後輩をかばった凛華は代償として自分の命を失う。

それから数日後、彼女は見知らぬ世界にいた。
パルカと名乗る女神によって魂が呼び戻された凛華を含む12人は、最後の1人になるまで命を奪い合う理不尽極まりない儀式『女神の選定』に参加することを強いられることになる。

 

キャラの扱いの差が激しい

気になった点はモブキャラの扱いの悪さ

儀式に参加している各キャラは生前と同じように現実世界で日常を送り、月曜日が来るごとに女神の選定が行われて一人ずつ死んでいくデスゲーム形式なのだが、序盤に亡くなる4~5人はメインストーリーに深く関わることがなくほとんど印象に残らなかった。

群像劇のためモブキャラが亡くなると次のモブキャラにフォーカスが移り「あー次はこの人が死んでしまうのか」とすぐに次の犠牲者が誰なのかわかってしまうのもデスゲーム物特有のドキドキ感が削がれてしまう。

中盤からは個性的なメインキャラたち各々の成長や心の変化が見られて面白くなってくるが、序盤はただモブキャラが片付けられているような気がして感情移入しづらいと感じた。

 

デスゲームとしては物足りない

本作に頭脳戦や巧妙な読み合いを期待すると拍子抜けする。

『ダンガンロンパ』や『逆転裁判』、『レイジングループ』などの作品では、登場人物が一堂に会する場面で壮絶な話し合いが行われて状況が二転三転し最後に大どんでん返しを見せてくれるが、本作は女神の選定でせっかく全員が集まっても物語が淡々と進むため盛り上がりに欠ける

話し合いもほとんどなく、指名する人のカードを女神に渡すだけなので「これ全員で集まる必要があるのか」と疑問に思った。どちらかというと日常パートのキャラが成長していく人間ドラマ的なところが見所になっている。

 

爽やかな百合ストーリー

女神の選定のルールやキャラの見せ方にはいろいろと不満点がありながらもストーリーは最高に良かった。まっすぐで清涼感のある恋愛がプレイヤーを惹き付け、うまいこと他のデスゲーム物と差別化されていると思う。

犠牲者候補12人の中には凛華の親友・未島海晴もおり、彼女は凛華に思いを寄せている。その情熱は普通の恋愛感情を超えてもはや異常なレベル。凛華に最後の席を譲るつもりで最初から行動し、いつでも自分の命を投げ出す覚悟で他参加者の情報を探り、随所で凛華への愛の深さを見せつけてくる。見てるこっちは「もし二人が最後に残ったらどうなるんだろう」とか「この恋が結ばれることはあるのか」と先が気になって仕方ない。

当の凛華の方は海晴からのアプローチに全く気づかず・・・という抜けたところも良かった。海晴が出てきたときの絶対的な安心と信頼はこの絶望的な状況下の唯一の癒しで、プレイヤーはこのゲームをやっていくうちに自然と凛華と海晴と二人の関係が好きになっているはず。

良かった点

・純愛を絡めた悲しく美しいストーリー
・読みごたえのあるボリューム(全クリアまで20時間弱)
・しっかりと意味を持った7つのマルチエンディング
・フルボイスで演技力も高い
・OP曲や挿入されるBGM

微妙だった点

・メインキャラとモブキャラの差が激しい
・デスゲームとしては物足りない
・終盤の説明が長くてわかりづらい、設定の辻褄合わせに苦労してるのかなと感じた

総評 

73/100

参加者同士の恋愛がうまく織り込まれていて、人狼やデスゲームをテーマにした他のビジュアルノベルとは違った展開を見せてくれる。面白かった。前作『Sound of Drop』はBADEND回収に追われグロ描写も多かったけど、本作はそんな要素はないので安心。おすすめ。

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