核で荒廃した大学を探索する廃墟ウォーキングシミュレーター「The Light Remake」の紹介レビュー

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The Light Remakeってこんなゲーム

2012年に公開されたフリーゲーム「The Light」のリメイク作品で、ロシアの開発者(Носков Сергей)が1人で制作した謎解きもあるウォーキングシミュレーター

舞台は核の犠牲になり荒廃した街。
プレイヤーは偶然街に立ち寄った男性を操作して崩れかけの大学と周辺を探索する。かつてこの建物にいたのであろう避難民たちが残した日記に目を凝らし、録音の声に耳を傾けながら、彼ら(638人)の命が失われた謎を紐解いていく。

廃墟探索

まず、雰囲気が良い

他の廃墟探索ゲームと違う点は、「脱出」を目的とせず、真っ昼間の晴天の中で進行するためまったりと廃墟探索を楽しめる。プレイヤーの行動を制限するものが少なく廃墟から出ることもできる。一歩外を出ると小鳥がさえずり草や木々がいきいきと揺れて美しい自然の営みを感じられるが、ど真ん中に佇んでいる朽ち果てた廃墟のおかげで常にどこか不安感が拭えない。中は殺風景で薄暗く、外の爽やかな空気感とのギャップもあってより廃墟の異質さが際立っている。

そしてこのゲームに出てくる歴史や話はフィクションだが、廃墟は実在するモスクワの大学がモデルとなっている。廃墟の構造がしっかり作られているのはもちろん前作からなのだが、リメイクでビジュアルが強化されたことも相まって環境が非常にリアルに感じられた。

ゲームプレイとしては部屋をめぐりながらキーとなるアイテムを見つけ、次の道を探したり謎を解いたりする探索アドベンチャー系。

廃墟は6階建てだが実際に行けるのは2階までとなっていて、探索範囲はそんなに広くない。ただしほぼノーヒントですべてのアイテムを自力で見つける必要がある。一度アイテムを見過ごすと「どこに行けばいいかわからない」状態に陥るので探索漏れがないようにしたい。

良かった点

・ストーリーや環境からくるせつなさと美しさ
・あっと驚くような演出もほどよく用意されている
・ジャンプスケアがないジワジワとくるホラー、地下に行くとがっつりホラー
・クリア後はオリジナル版ができるようになる
・2種類のマルチエンディング
・コントローラー対応(落ちているアイテムの認識がイマイチなためマウキーの方がやりやすい)

微妙だった点

・作者からの反戦メッセージ性が強め(押し付けてくる感じが苦手な人は嫌かも)
・エンディングは大音量で雰囲気にそぐわず映像の内容もよくわからなかった
・日本語非対応(壁の文字や一部の音声はロシア語で完璧に把握するのは難しい)

 

総評

60/100

シンプルながらも内容が深くて面白い。これといった敵は出てこないのにサウンドと演出だけで恐ろしく、特に地下は地獄だった。ホラーとしても良くできている。おすすめ。

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