レトロ風の近未来SFサバイバルホラー「SIGNALIS」の紹介レビュー

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SIGNALISってこんなゲーム

ドイツのrose-engineが開発したサバイバルホラー

舞台は宇宙開発が急速に進み高度な技術を持つ近未来の架空世界。

各コロニーでは人間たちが指揮官(ゲシュタルト)となり、労働力となる人型のアンドロイド(レプリカ)たちを管理しながら貴重な資源を採掘していた。

そんな折、地球から遠く離れた氷の惑星レンでは偵察シャトル「ペンローズ512」が不時着。宇宙船のコールドスリープから目を覚ました地上調査タイプのレプリカ「エルスター(型番LSTR-512)」は、それまでの記憶を少しずつ思い出しながら、大昔に約束を交わしたパートナー、アリアーネの行方を追うことになる。

 

ゲームプレイ

端的にいうとSFにしたバイオみたいなゲーム性。

ゾンビに代わって暴走したレプリカたちと戦い、採掘施設で謎を解いていく。ハンドガン・ショットガン・リボルバー・スタンガンなどさまざまな武器を扱いながら攻略するのは楽しいが、ナイフのような無限に使える武器がない、手に入る弾数は限られている、敵はしばらくすると復活する、といった理由から戦闘面は消極的で「できるだけ戦わない」立ち回りが求められる。隠密アクションみたいなものはなく、戦闘を避ける方法は強引に敵の横を突破するだけなので、戦闘・ステルス中心のゲームプレイが好きな人には合わないかもしれない。

「この部屋は一回しか来ないだろうから敵は全部無視しとこう」とか「この廊下はよく通るからフレアガンで永久に敵が復活しないようにしておこう」みたいなことを考えながら進む場面が多いので、アイテムの節約・管理しながらのプレイが好きな人なら楽しめるはず。

現時点ではバッグのインベントリスロットが6つしかなく非常に少なく感じる。

フラッシュライト・銃・弾薬・回復と最低限のアイテムを携帯するだけで中身が圧迫されてしまう。これによって見つけたアイテムを数回に分けて倉庫に運ぶだけの退屈な作業時間もあったが、スロットの数が近いうちに修正されるらしいので今後やる予定の人は気にしなくても良さそう。

ゲームプレイは戦闘よりも探索と謎解きが中心。

謎解きでは様々な仕掛けが待ち受けているが、特に本作の謎解きに欠かせない無線モジュールの仕組みは独特で印象的。

周波数をいじって過去に誰かが発信した情報を傍受する基本的な使い方だけでなく、特定の周波数にしたまま移動することによって敵を無効化したりカギをアンロックしたり、無線だけでも色々な謎解きが出てくるなど、解けた後はしっかりと手ごたえを感じさせてくれる。

読み物の中身はSF作品ならではの設定や専門的な用語で溢れていて、最初こそ「これは理解するの難しそう・・・」とたじろいでしまったものの、話の大筋がわかりやすいからメモや種類から得られる情報も良い肉付けになっている。考察の余地も残されていて「もしかしてこれってメモに書かれたあのことかも」と想像しながらのプレイが楽しめる。

 

不満点としては、銃を構えたときの照準や移動する際に扉のフォーカス表示が出るタイミングが遅くイライラさせられることがある。急いで行動しないといけない場面だからもうちょっと早く表示してくれたら、と思った。もう一つは、アイテムの装備が一つしかできないところ。暗い場所ではフラッシュライトが必須で、スタンガンなど他のアイテムが装備できなくなるのが不便。銃なら撃てるがもっと効果的なアイテムを使いたいときに使えないのがちょっとやりづらかった。

 

良かった点

・考察しがいのあるストーリー(百合もあり)
・大掛かりな謎解きや無線を使ったユニークな謎解き
・陰鬱とした雰囲気
・90年代のゲームやアニメのパロディが満載
・日本語対応

微妙だった点

・ボス戦が極端に少ない
・ゲームの設定が毎回初期化される(ゲーパスだけかも)
・照準が遅くて気になる
・アイテム装備枠が一つしかないのが不便

 

総評

75/100

エヴァ、メタルギアソリッド、サイレントヒルなど様々な作品にインスパイアされた上で、その完成度の高さには驚かされた。世界観もNieR:Automataぽくて良い。オリジナルの良さもしっかりあり、さすが制作期間が10年近くというだけあってここ最近のインディー作品と比べると作り込み度合いが群を抜いていると個人的には感じた。ホラーとしては怖くないが、遠い惑星の文明が崩壊したダークな世界をじっくりと探索したい人にはおすすめ。

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