呪われた古代ローマ都市の謎を解くミステリーアドベンチャー「The Forgotten City」の紹介レビュー

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The Forgotten Cityってこんなゲーム

オーストラリアのModern Storytellerが開発した一人称視点のミステリーアドベンチャー

元々は『スカイリム』のクエストMODに過ぎなかったゲーム。製品化/スタンドアローン化するにあたって舞台はドゥーマー都市から古代ローマ都市になり、シナリオも追加。ボリュームも約2倍に。

リリース直後しばらくして日本語が抜かれていたが、現在は日本語にも対応している。

 

あらすじ

主人公は記憶を失くした青年。

イタリアのテベレ川で気絶していたところ『カレン』と名乗る女性に救出される。その後に彼女から近くの遺跡を調査中に行方不明になった友人の『アル』を探すよう頼まれ、仕方なく主人公も遺跡に入ることに。

しばらく歩いていると金に覆われた人の像があちこちに散乱していることに気づき、その中で首を吊って亡くなったアルを発見する。

メモに書かれた警告を無視してさらに奥に進むと、そこは現代では再現できない、完璧に保存された状態の古代ローマ都市に行き着くのだった。

 

出口の無い呪われた都市

主人公がやってきたのは『黄金律』に呪われた都市で、誰かが罪を犯すと町の住民23人全員が罰を受けて黄金像に変えられる。

ここでいう罪というのは法律とは無関係のもので何者かが勝手に決めたルール、殺人や盗みはアウトだけど詐欺はセーフといった感じで基準が結構曖昧。というわけでこちらからは何が罪になるかわからないようになっており、逃げ出すこともできない。

そんな中で、プレイヤーは周りの住民が抱えている悩みや問題を解決して協力関係を築き、黄金律を破りそうな住民を見つけ、都市から脱出する方法を探していくことになる。

 

ループシステム

誰かが罪を犯すと住民たちは黄金像に変えられていくが、主人公は急いでスタート地点に戻ることで一日がタイムループする。

本作におけるループは完全なやり直しではなく所持品などは持ち越せる。また、一度クリアしたクエストは代わりにNPCに任せられるなど、ループによって繰り返しになりそうな部分は極力排除されたシステムが非常に良かった

繰り返される一日だけど、その一日一日の体験が常に新鮮なものになっている。

 

やりこみ要素

エンディングは4種類

クリア後はそのままループして違うエンディングを回収できる。ボリュームは全ルート制覇しても10時間ほど。今後MODによる拡張が予定されている。

 

推理する場面はほぼ無い

欠点というより注意点。ミステリーといえば推理がつきものだが、本作に推理要素を期待するとがっかりするかもしれない。

ストーリーは予想を遥か斜め上をいく展開で面白いが、クエストナビゲーションが親切すぎるが故にプレイヤーが思考を巡らせて犯人を特定したりわずかなヒントから証拠を当てるなどしなくても、ナビに沿ってやっていけばほとんどのクエストはクリアできるものになっている。

考察は非常に楽しいが、ゲームの作り的にはどちらかというと推理よりも雰囲気とかストーリーを楽しみたい人向けといった感じ。

良かった点

・壮大かつロマン溢れる珠玉のストーリー
・個性強めなキャラクターたちとの会話が面白く、過去や背景を知るうちに親近感が湧く
・リアルに再現されたローマの都市、聖堂は美しく浴場がめちゃくちゃ広い
・タイムループ物なのに繰り返しが少ない
・日本語対応

微妙だった点

・壁登りなどのアクションがぎこちない
・弓は使いやすいがスカイリムのようなステルス攻撃がない
・もっと推理要素があってもよかった

 

総評

90/100

非常に満足度の高いミステリーゲームだった。
なによりストーリーが秀逸で、ギリシャ神話の神々の話やローマ時代の哲学と倫理感などさまざまな設定が盛り込まれているが、そんなのに興味なくても楽しめる。タイムループのシステムも煩わしい部分が排除されて遊びやすく、同ジャンルの名作Outer Wildsと比べると誘導が親切で行き詰まることもほぼない。意外と万人受けするゲームなんじゃないかと思う。おすすめ。

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