「A Space for the Unbound」の紹介レビュー インドネシアの田舎町を舞台にした2Dアドベンチャー

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A Space for the Unboundってこんなゲーム

Mojikenが開発、90年代後半インドネシアの田舎町を舞台にした2Dアドベンチャー

ストーリー

主人公アトマと恋人のラヤが卒業するまでに達成しておきたい「やることリスト」を計画し、学校を飛び出して2人で小さな夢を叶えていくことになる

序盤は高校生カップルのほのぼのとした日常が描かれるが、通常起こり得ないような奇妙な出来事に遭遇していくうち、次第に「いじめ」や「鬱」といった重いテーマに変わっていく。

時にはこちらも読み進めるのが辛くなってしまうくらい暗くて悲しい物語となっているが、避けられない問題をどう乗り切るかという前向きなものになっており、最後は心地よい気持ちで終われるストーリーとなっている。

ゲームプレイ

主人公アトマを操作してインドネシアの田舎町ロカシティを駆け巡り、町の人々と話したり、ちょっと変わった謎を解いていく、ゲームシステム自体はよくあるアドベンチャータイプ物

章ごとに用意されたミッションを達成するという一本道のゲームプレイで、どれもおつかい的な内容が多いが、ミニゲームや戦闘やスペースダイブ(相手の心に干渉して問題を解決する)といった要素が随所に挟まるおかげでそこまで退屈な場面はないかなと思う。

目標が常時メモに表示されているので迷うことはなく、ゲームテンポもかなり良い


▼インドネシアのゲームだが、作者が日本通でくすりと笑ってしまう日本のゲームやアニメの小ネタが盛り沢山なのが嬉しいところ。

▼ドットのグラフィックは作者の気合いと情熱が感じられるクオリティ。

もう一つ凄いのは猫への異常な愛。町を歩いていると画面内に必ず一匹いるんじゃないかと思うくらい猫密度が高く、ロード画面のシルエットなども猫。それに見るだけじゃなくなでたり猫一匹一匹に名前まで付けられる遊び心もある。

良かった点

・90年代のノスタルジックな街並みや雰囲気
・作者の凄まじい気合いを感じられる緻密なドットグラフィック、見せ方にこだわりがありカットイン演出なども豊富
・キャラが生き生きとしており、脇役もよく練られている
・随所にミニゲームや小ネタが仕込まれていて飽きさせない工夫がある
・日本語対応

微妙だった点

・猫愛に溢れているが、一部猫好きにとって見たくないシーンも
・戦闘とミニゲームの難易度が低すぎて少し物足りなく感じる

 

総評

81/100

日常とSFが絶妙に調和したアドベンチャー。見た目からして軽そうなゲームだと思いきや、大作アニメをドット絵で表現したような重厚さと綿密に練られた物語で心にザクザクと突き刺さる内容でした。序盤は「えっどういうこと!?」となるような訳もわからず次々と衝撃的な出来事に巻き込まれていくことになるが、後半からは答え合わせをするように伏線が回収される。謎だらけの物語を徐々に明かしていくのが好きなら必見のゲームだと思う。時おり重苦しくなるような場面もあるが、そういった部分も物語に良い意味で深みを与えているので暖かみと絶望でじんわり心に染み渡るようなゲームがやりたい人にはおすすめしたい。

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