ASTLIBRA Revisionってこんなゲーム
日本のKEIZO氏が制作した剣と魔法のファンタジー世界を舞台にしたアクションRPG。
元々は、14年かけてほぼ1人で制作された「ASTLIBRA ～生きた証～」という伝説的なフリーゲームで、そこから解像度やワイド画面対応など色々改善が図られ、新システムとストーリーを追加した完全版となっている。
◆ストーリー
故郷の村がモンスターに襲われ、大事な幼なじみと生き別れになってしまった主人公。
目を覚ました先は村から遠く離れた辺境の地。そこで出会った黒い鳥「カロン」と共に長い旅を経て、時を操る強力なアーティファクト「アストレイアの天秤」を手にすることになる。主人公は滅びた故郷と幼なじみを救うため、天秤の力を幾度となく使って何度も歴史を塗り替えるのだが…といったあらすじ。
◆戦闘
攻撃はコンボによる爽快なアクションと多彩なスキル(憑依技)が特長。
スキルは格闘ゲームのようにコマンド入力で発動、方向キー2つの簡易的なコマンドで入力時は画面が停止するのでアクションが苦手でも簡単に技を繰り出せる親切な設計。
スキル自体も強力なのだが、スキル発動時の無敵時間が長めに取られているので、その間にゴリゴリ削るもよし敵の危険な技を避けるための回避用にするといった様々な使い方ができる。
武器の特徴としては、攻撃スピードが武器の重さに依存し短剣などの軽い武器は振りが早い。
逆にハンマーや大剣タイプは振りは遅いけれど範囲と一撃のダメージが大きくヒット&アウェイ向け。杖を装備すると遠距離から攻撃する魔法使いスタイルで戦うこともできる。
一周目では後から出てくる武器ほどやはり強力だが、二周目(Revision)では手に馴染む武器を強化できるので、自分のプレイスタイルに合った武器を選べる。一周目のように「終盤の武器でしかまともにダメージを与えられない」状況に縛られないのが嬉しい。
ゲームの難易度はダークソウルほどではないものの、ノーマルでもボスの特殊技であっさり即死するシビアさ。
ボス戦でやられてもすぐに再戦はできるが使ったアイテムは消費されたままなので、リトライがあるとはいえ油断できない仕様になっている。
◆キャラ育成
自分の手でキャラを好きなように育成していけるシステム。
レベルアップで5つのポイントをステータスに割り振る。バランス良く育てるのもいいし、武器に合わせて物理・魔導力に特化して振るのもあり。ポイントをリセットするアイテムが手に入りやすく良心的で、生命力や適応力などの上昇しても変化が感じにくくなってくるステータスを捨てて後半になってから他に振り直すといった選択もできる。
レベルアップの他に敵から手に入る「フォース」でスキルを覚えたりさらにステータスを上げられる。フォースを使ってボード上の能力を開放していく、いわゆるスフィア盤のような成長システム。戦闘すればするほどキャラを成長させられるのでこれも面白いが、分岐があまりなく枝の先に自分の欲しいステータスやスキルがあるかどうか見れないのが少し難点。
また、装備品にも「熟練度」があり、マスターまで使い込むと装備品の持つパッシブスキルを永続的に修得できるようになる。
装備品の数は豊富で作るための素材集めも楽しく、装備が見た目に反映されるところも良い。
◆ボリューム
一周目はフリーゲーム版とほぼ同じ内容でクリアまで40時間程度。無料分だけでも大作RPG丸々やるのと変わらないくらい長く遊べる。
そして二周目は真エンドを目指してクリアまで20時間ほど。合わせて60時間。この圧倒的なボリュームに対して2500円は破格の安さといえると思う。
良かった点
・王道ストーリー、キャラの絡みも楽しい
・ざっくざく斬りまくる爽快なアクション、憑依技も多彩
・キャラの能力アップを自分で選べる育成システム
・60時間以上遊べるボリューム
・多関節でぐねぐね動く迫力満天のボスのビジュアル
・闘技場やEXダンジョンといったやり込み
・コツコツやれる収集要素
・装備品が豊富、装備が見た目に反映される
微妙だった点
・過去に戻れるのでダンジョンの宝箱はほとんど回収できるが、それでも一部のアイテムは取り返せないものあり
・会話中に挟まる「・・・」などの吹き出しが場面によってはテンポ悪く感じる
・世界観と合ってない下ネタ多め
◆総評
82/100
ストーリーやバトルシステムだけでなくグラフィックやBGMに至るまで丁寧に作られており、14年という制作期間の厚みを感じる傑作。内容は圧巻の一言で、それでいて安いのも魅力。JRPGは軒並み高いイメージがあるのでその点から見てもありがたい。
コツコツとキャラを育てるRPGが好きな人には特におすすめ。