台湾の英雄となり旧日本軍らと戦う2Dカンフーアクション「添丁の伝説」の紹介レビュー

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添丁の伝説ってこんなゲーム

台湾の創遊遊戲が開発したスタイリッシュな2Dカンフーアクション

日清戦争後の台湾を舞台に、日本軍に虐げられる民衆を救った義賊の廖添丁(リャオ・ティエンディン)の活躍を描いた作品。プレイヤーはこの廖添丁を操作し、日本軍、台北で暗躍する謎の組織、盗賊やならず者など複雑に渦巻く台湾の街で命を投げうって民衆のために戦うことになる。

ストーリー自体はフィクションだが主人公は実在した人物で、軍に抵抗するだけじゃなく盗賊から奪った盗品を貧困にあえぐ民に配ったり、処刑された後にはその呪いによって日本の将校らが不慮の事故で次々と亡くなるなど数々の逸話を残した台湾の伝説的な英雄、とのこと。

 

ゲームプレイ

物語は全6章で構成。各章の流れとしては、台北の街を自由に探索(サイドクエストをこなしたりホームレスにお金をあげてステータスを強化したりなど)→ダンジョンに入って攻略、そして最後にボスを倒すと章が完結する。

章の冒頭や末尾など要所で漫画スタイルのカットシーンが入る。

賑やかなコマ割りでキャラクターの表情が細かかったりと飽きさせない作りで、いちいち演出がダイナミックだけど漫画なのでやり過ぎてるというのも感じられない。主人公が成長していく姿が見所だが、他のキャラクターも魅力に溢れており、悪役や仲間とのやりとりも楽しめるものになっている。

サイドクエストは過去にクリアしたダンジョンに再度侵入して特定のアイテムを持ち帰るといったリプレイ性を重視した作りになっている。

エンディングが2種類あってグッドエンドを見るにはサイドクエストもしっかりやる必要があるのだが、それがレアドロップだったりするので普通にやってるとなかなか気づけない。どこにお目当てのアイテムがあるか明示されてないのはちょっと不親切に感じた。

基本アクションは通常攻撃、ドロップキックや下叩きつけなどの特殊攻撃(MP消費)、ローリング回避、饅頭を食べて回復、グラップリングなどなど。物語の進行と共に次から次へと他のアクションも使えるようになる。

特に中盤で覚える「パーフェクト回避」系のスキルはとても便利で、ダンジョンだけでなくボス戦でも非常に使える。それまでは攻撃と通常回避しかなくてちょっと単調に感じられたが、中盤からはギリギリに避けるのがやみつきになり、より戦闘が刺激的になってくる。

戦闘で特徴的なのが「武器を奪取できる」という点。

敵は皆なんらかの武器を持っていて、何度か攻撃することで武器を奪い取ることができる。竹槍、斧、盾、ピストル、ライフル、ロケットランチャーなど、どの武器を奪うかはプレイヤーが自由に選択でき、奪った武器を活用することで戦闘の幅も広がっていく。

主人公の成長・強化要素はあっさり。
クエストクリアでHPや所持できる饅頭の数が増える。あとは街中にいるホームレスや宝箱から武器のダメージアップなどのアイテムを入手することもあるが、何が上がるかは選択できないしランダムでわからない。

装備はクエストなどで手に入る「お守り」のみ。重量制限があり、すべてを装備することはできないが、罠からのダメージ軽減、回復力アップといったパッシブ効果がある。

良かった点

・かっこいいカンフーアクションと武器奪取システム
・漫画スタイルの魅力的なグラフィック
・当時の台湾の歴史背景や街の空気感が忠実によく再現されている
・日本の有名なお菓子や小物も出てくるので親しみ深い
・日本語対応

微妙だった点

・キャラが強化されるとはいえ、繰り返し何度もホームレスに話しかけるのはちょっと疲れる
・サイドクエストの内容はおつかいメイン、広いダンジョンのどこにクエストアイテムがあるのかわかりにくい
・敵の種類が少なくダンジョンごとの個性があまりない

 

総評

70/100

カンフーアクション漫画でもあり、歴史アドベンチャーでもあり、ゲームとしてもよく出来た作品で満足できる内容。日本軍が悪役ということで台湾の一般人から自由を奪ったりいじめたりする描写は心苦しくなるが、いつもとは違った視点から英雄の活躍を追っていくのはユニークな体験で面白く感じられた。ボリュームの方は1週するのに約5時間、グッドエンドを見ようと思うとその倍くらい。アクションゲームとしても素晴らしいが、台湾の伝承や歴史に興味がある人にもおすすめしたい。

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